◆論点メモ+所感
マニュアルに対する批判
【まず】マニュアルを作る人は頭を使っている
⇒【他方で】マニュアルを使う人が頭を使わずトラブルになることも
⇒【だから】マニュアルを守るばかりではいけない
⇒【加えて】若い人はマニュアル外行為を恐れる
⇒【問い】知識偏重教育の弊害ではないか(問いを作ることが苦手)
⇒【弊害の具体】僧侶の修行、軍隊の訓練は「問い」はご法度。上の言うことは絶対。
【その他】
・この本自体が若干マニュアルっぽくないか
・マニュアルにより作業を細分化することで良心が麻痺する
・職人の世界にはマニュアルはなさそう
◆所感
マニュアルの存在意義のひとつは「頭を使わなくてもいい」ことである。マニュアルを「規則」や「システム」と言い換えることもできそうだ。いずれも、「守りさえすればトラブルが発生しない仕組みの構築」を目指している。
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トラブル発生時に、その原因を「マニュアルの守りすぎ」とするか「マニュアルそのものの精度」とするかはケース、業界等によって異なる。臨機応変さが求められることもあれば、臨機応変などとんでもないこともある。
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たとえば、医薬品の製造は決められた手順(バリデーション)を忠実に守る必要がある。「このやり方の方が明らか効率いいんで気ぃきかして改善しときました」などはご法度である。また、マニュアルの意味を十分に理解しないまま「考えた結果」を実行することもいい結果を生まない。「余計なこと考えなくていいから新人は言われた通りやってろ」という声が聞こえてきそうだ。
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本書に書かれているとおり、思考力と「問いをたてる力」は重要だ。しかしながら、誤った問いは誤った結論を導くことを十分に認識する必要がある。考えることには難しさと覚悟が伴うことをふまえて、研鑽していかなくてはならない。
◆参考文献・引用元
上田正仁(2013)『東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方』ブックマン社 。